2019/10/22

ピッツァの話〜まずトマトソース



 1週間前の日曜日。ウチのピッツァイオロ(ピッツァ職人)が、久しぶりに仕事してもいいというので、ピッツァにしました。ピッツァにはいろいろな思い出があり、「幻のヴェネツィア魚食堂」(晶文社)の中に書いた話ですが、イタリア往きの飛行機の中で隣りになったイタリア人が話してくれた「新婚以来ずっと土曜はピッツァ」のすてきなファミリーの話も印象的。私がはじめて(お店ではなく)イタリアの家庭のピッツァをご馳走になった時の話も。手作りでコツコツ作ったという小さな窯で、おいしいピッツァをどんどん焼いてくれて・・・そういえばその日はたまたま私の誕生日で、知り合って間もないファミリーだったのに、サプライズでケーキも用意してくれていたのでした。ちょうど・・・何年前???
 自分でピッツァを打ち、焼くようになってからでも、もうかなりの年数に。ピッツァに欠かせないのは、おいしい生地、シンプルなトマトソース。これにチーズはモッツァレラチーズ、オリーブオイル。生地を粉から作るのはもちろん大事ですが、同じくらい大事なのがトマトソースです。これはあくまでシンプル!
 「ピザソース」という名前で、玉ネギやにんにくが入っていたり、ハーブが入っていたり、オイルも多い感じのものが市販されているので、ピッツァのトマトソースは「強い味」と思っている人が意外に多いです。もちろん、ピッツァの種類によってにんにくや玉ネギを入れることもあるし、ドライハーブを散らすこともある。でも、基本のトマトソースは、「水煮トマトと塩だけ」、ただ煮詰めただけのソースがベストなのです。
そして、家庭のオーブンやオーブントースターで焼くために煮詰めるけれど、400度や500度の窯で焼く場合は事前に煮詰めさえしない(一瞬で煮詰まる!)ことも多いくらい。それほど「トマトそのまま」なのです。
 あっさりしたソースだから、ピッツァ・マルゲリータ(モッツァレラ+トマト+バジリコ)のイタリア代表ピッツァなら、焼く直前にオリーブオイルをひとたらしし、パルミジャーノを少々ふります。これまた何十年前にナポリのピッツェリアで見せてもらって以来、私もその作り方を続けています。
 さて、話が戻って、1週間前のピッツァは、定番マルゲリータのほかに数種、写真が撮れたのはマリネしておいた豚挽肉を散らしたサルシッチャもどき。他にはサラミ&玉ネギ、しらす&ブロッコリなどなど。北海道の小麦粉春よ恋のブレンド具合や、十数年私の元で修行した(^^)職人の腕やらで、なかなかいい仕上がりでした。生地の話はまた尽きないので、次回♡


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#トマト #あらごしトマト






2019/10/15

しらすをイタリア風に

 



 東京に(かなり)長く暮らしている私ですが、仕事や帰省で和歌山に行き、売っている釜揚げしらすを買うと、首都圏で売っているものとの塩気の違いにすぐ気づきます。それは特定のしらす屋さんだけ・・・ではなく、和歌山でどこで買っても殆ど、なのです。和歌山から東京にしばらく赴任していた女性も、「東京のしらすはしょっぱいので驚いた」と言っていました。穏やかな塩分で食べやすい和歌山のしらす。私が取り寄せているもののひとつです。料理教室の参加者さんにもファンが多い和歌山アイテムです。
 以前、素材としてのしらす特集を執筆、料理提案をした時、かなりの人数のアンケートをしました。しらすをどんな料理に使っていますか? 多かった答えはしらすおろしや、酢の物、そしてしらすごはん、だったでしょうか。和食の友、というポジションに置いている人が圧倒的でした。
 私ももちろん、しらすご飯、酢の物、作りますが、和歌山から釜揚げしらすが届いた日はたいてい、まず、カナッペです。しらすに青ネギを散らし、オリーブオイルをたっぷりめにかけ、黒胡椒を挽く。単純ですが、これがおいしくて、クセになります。バゲットなど塩気のあるパン、にのせれば完成。
それ以外にも、パスタにも。パスタはオリーブオイルベースのシンプルなものにして、季節によって菜の花としらすにしたり、ブロッコリーとしらすにしたり、シンプルに、ピリ辛にしたり。スープパスタにしてトマトと合わせても良いし・・・いろいろ広がります。写真のパスタはブロッコリーです。ブロッコリーはくたくたに茹ですぎるのがパスタに合います。
イロイロ他にもありますが、先週の料理教室でご紹介したのが、しらすのイタリアンお焼き。しらす、卵、小麦粉、パセリのみじん切りたっぷり、をまぜて、オリーブオイルで焼いたもの。卵焼きもいいのですが、卵の味って強いので、穏やかでやさしいしらすを「食って」しまう感じもします。小麦粉も加えてお焼き風にすれば、バランスちょうどよくて、サクサク食べられます。
 しらすが冷蔵便で届いたら、小分けにしてラップし、まとめてファスナー袋や容器に入れて冷凍庫に入れます。小分けも30グラム、50グラム、60グラム、と量を変えて。こうしておくと、料理によって、人数によって変えられるので。
さ、今日は何にしようかな・・・。





そして、私が取り寄せているのは和歌山県、湯浅町の「前福」さんのしらす。
以前取材させていただいた時の「釜揚げひきあげの瞬間」、
そして、ほんの短時間だけ天日に広げて干しているところ、です。




2019/10/02

料理撮影の話、トマトソース仕込みの話

 まだ書名が決まっていないので、しっかりご案内は出来ないのですが、11月発売で、新しい著書(料理レシピ本)が刊行されることになり、作業の渦中です。先週と先々週は撮影でした。イタリア料理がテーマなので、野菜や肉、魚から、パスタ、トマト水煮、オリーブオイル、ワインヴィネガー、ハーブやスパイス、瓶詰缶詰・・・とありとあらゆる?食材が必要。某スーパーオオゼキ松原店さんからはかなりの量を配達してもらったのですが、配達の人が毎日違う人だったので「いったい何するんだろう」と思ってたでしょうね・・・
 撮影の日は朝から終日ですが、9時半集合、実質10時からの撮影になるので、私はその前早朝から準備。前日準備のものもあります。
とはいえ。早朝から準備といっても、なんでもかんでも先に作ってしまうと、色が変わったり、食べるなら十分OKだけど撮影には微妙に見た目・・・となるものも多いので、実はそんなに出来るわけではない。そんな中で堂々、先に仕込めて嬉しいのがトマトソース系です。
 冷蔵しても冷凍しても色は変わらない、味ももちろん変わらない 。だからトマトソース系だけはしっかり仕込んで、撮影スタート時に準備OKに。どんなトマトソース料理が登場するかは、もうしばらくナイショです♪
 ちなみに撮影の前に仕込めるということは時、ふだんも便利ということ。冷凍解凍すると味ちょっとね、でもまあいいよ、という「妥協冷凍」(笑)ではなく、「優秀冷凍」なので。その上もともと、水煮トマト缶やあらごしボトルは、常温でストック可能なので、いつも常備、冷凍していなくても「何もなくてもこれだけは」(^^という安心感も。
 さてさて、撮影も無事終わりました。食材の量が半端ないので期間中のみレンタルしていた冷蔵庫も返却。
 そういえば、“撮影する料理は食べない(食べさせない)料理家さんもいらっしゃる、撮影用は味つけてなかったり、撮影用に何か(見た目用にレシピとは全然違う油とか)入れてたりするから”とはスタッフのかたたちからよく聞く話ですが、私にとっては「今食べてもらわなくていつ」ですし、そもそも美味しい食材を使って作るのに、食べてもらわない=捨てることになるわけで、それは悲しすぎます。なので、今回の撮影も撮影が終わるとスタッフのかたたちは「あ〜おなかいっぱい♡」となり、私はスプーン1杯の味見だけなので、「あ〜おなかすいた〜」となるわけでした。
ところが。翌朝楽しみに体重測ってみても、全く減っていない、という落ちでした;;
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