2019/11/29

泡立てる季節〜カフェラッテの話

たいてい毎朝、カフェラッテを飲みます。コンロにかけるタイプのエスプレッソマシンでいれるか、普通のドリップで濃く濃くいれるかしたコーヒーと牛乳の組み合わせです。
暑い季節も、朝はきんきん冷たいものは飲みたくないので、イタリア語でいうとtiepido 生あたたかいというか生ぬるいというか、日本語にするといまいちな語感ですが、コーヒーが熱いので冷たい牛乳を入れて、少しぬるくなる、そのまま飲むわけです。
 そんな日は5月のゴールデンウイークの頃から10月の半ば頃まで続きます。空気が少し冷たくなってきて、朝、起きてきてスリッパを履いてもはだしのままでは無防備な気分になり、tiepidoでもいやだな、と思うようになる頃から、私の「クリーマーの朝」がはじまります。
ミルククリーマー、schiumatore(スキュウマトーレ)、牛乳泡立て器です。牛乳を熱くして、シャカシャカ、持ち手を上下させるだけ。16回くらいかな。もっとかも。完全手動です。
昔、イタリアのスーパーで電池式のクリーマーを見つけて喜んで買ってきましたが、寿命はわりあい短くて、その前に買ったクリーマーがまだ現役。でも、1年前に同じものを友人に買ってきてもらったら、ネット部分の素材が変更されていて、何かわからないのですがもっともっちりクリーミーな泡ができるようになりました。ジミに進歩しているのです。
 ラテアートはあちこちのカフェでやってくれるようになり、シンプルなハート型から、文字や絵を描くものまでいろいろ。すてきだなと思いますが、私は、こんな落書きをして楽しんでます。
これからしばらく、朝は泡立て(フォームミルク)で、カフェラッテを飲む日が続きそうです。シャカシャカしていると少しさめるので、牛乳は本当は・・・小鍋で吹きこぼれる寸前まで熱くするほうがいいのですが、何せ起き抜けなので、電子レンジに頼る日々です。

2019/11/16

ひと鍋パスタ?ふた鍋パスタ?






新刊「ちゃちゃっとイタリアン」では、手間なし、時短、かんたんにできる、シンプルで美味しい、そんなレシピをご紹介しているわけですが、パスタのひと鍋レレシピと2鍋レシピも、実はどっちも「ちゃちゃっとレシピなら同じ」という話です。
写真の、ブロッコリーのパスタは、ひと鍋レシピ。(本に出ています)
そして、ブロッコリーの親戚(?)カリフラワーのパスタですが、これは2鍋です。

ひと鍋パスタは、1ポットパスタといわれ、ヨーロッパで数年前に流行り、パスタ会社が無理な1ポットレシピをupして炎上したり、していました。
ひとつの鍋(私は深いテフロンフライパン)で全て出来てしまうレシピのことで、ブロッコリーのパスタの場合は
  お湯を沸かして塩を入れ、パスタとブロッコリーを一緒にゆでる。
2 ザルにあげ、フライパンにはオリーブオイルを入れる(ニンニクも入れても)
3  パスタとブロッコリーをもどして軽くオイルとあわせて出来上がり
というもの。洗い物が少なくてすむ、というのはポイントです。

2鍋レシピはごく普通のパスタのレシピで、時間をかけて作るソースももちろんありますが、この、カリフラワートマトソースは、ちゃちゃっとの代表格。
1  お湯を沸かして塩を入れ、パスタとカリフラワーを一緒にゆでる。
2  隣のコンロで小鍋にトマトあらごしとオリーブオイル、塩を入れて軽く煮る。
3   パスタとカリフラワーをザルに上げ、トマトの小鍋に入れてまぜる。
というもの。
パスタのゆで時間内で出来てしまうので、どちらもかかる時間は一緒、
コンロ2つか1つか、というわけです。
ひと鍋は洗い物が少ない、
ふた鍋は煮込みが短いトマトソースが多くなりますが、ソースを冷凍できる。

ブロッコリーもカリフラワーも、本当は冬が旬の野菜。もちろん、ブロッコリーとカリフラワーを入れ替えて(オイルベースとトマトソース)も美味しくできます。今日はどうしましょう?

redgoldfromeuropejapan
# ikuko Kaitani
#ちゃちゃっとイタリアン











2019/11/08

勝浦のまぐろ缶〜味を作る脇役たち 赤山椒トマト缶編





「勝浦のまぐろ 赤山椒トマト」の話です。
赤山椒?トマト? 
一緒に並んだ状態で見ることがあまりない材料の組み合わせですが、実は私はこの組み合わせ、もともと好きです。
シンプルなトマトソースを作って食べる時も、そして
ツナやサバ缶など、魚系の素材を使ったトマトソースを作る時、仕上げにふるスパイスは、黒胡椒、白胡椒より、赤山椒をかける(粉でかけたり、ミルで挽いたり)が多いのです。
赤山椒は、山椒の実を青い時に収穫せず、熟して赤くなるまで樹上に置いておいたもの。木がいたむので、たくさん赤山椒にはできず、量が少ないので高価にもなるのですが、青山椒とは違う、一段落ち着いた香りとぴりり感が、トマトソースにはよく合います。
缶詰に使っているトマトソースは、パッサータとよばれる、うらごしタイプのもの。なめらかになっているのと、水煮缶詰のようにトマトジュースを加えていないので濃度がもともと高く、少し煮詰めただけでちょうどよいトマトソースになります。
しかし!大量のパッサータを煮詰めるのは「少し」といっても時間がかかるのです。加工場では大鍋で、焦げないように弱火で、たえずかき混ぜながらていねいに煮詰めています。 酸味も、濃さもちょうどよくなり、別でオリーブオイル蒸し炒めにした玉ネギやパプリカとの相性もよく、食べやすくあとをひく一品に仕上げました。
赤山椒は、最後の最後、缶詰のフタを閉じる前に、赤山椒の粒を、ミルを使って決まった回数挽いています。缶詰は加熱するので、どうしても香りは弱くなります。せめてもなるべくいい香りを!でも強すぎず!と試行錯誤しました。

赤山椒は山椒生産日本一の和歌山、かんじゃ山椒園さんのもの
http://www.sansyou-en.com
トマトはもちろんイタリアのパッサータ(あらごしタイプ)
https://redgoldfromeurope.jp/ja


 # waitalian
#ikukokaitani





勝浦のまぐろ缶〜味を作る脇役たち 梅缶編

 勝浦漁港に上がるびんちょうまぐろの鮮度とおいしさが、この缶詰のおいしさの一番、なのはもちろんですが、他にもいろいろな「おいしいもの」が入って出来上がっています。いくつかご紹介していきます。
まず「勝浦のまぐろ 梅の柚子マリネ」から。
もちろんまぐろと一緒に主役を張るのが梅干し、紀州南高梅です。南高梅は、皮が薄く、タネが小さく、果肉が柔らかいというのが特長。梅の最高級ブランドとして知られています。この南高梅はサイズがあり、特大はみごとですが、これを缶詰に入れると、まぐろが少ししか入らないし(笑)、塩抜きしても全体の塩味が強くなってしまいます。なので、この缶詰、まぐろの量に合うサイズを試し、ちょうどよいLサイズを使っています。塩だけで漬けたまじりけなしの白干し梅です。前回書いたように、抜けすぎず、梅干しの味もあり、しょっぱすぎず・・・という塩抜きをしてありますので、
梅干しとまぐろを一緒にお召し上がりください。
梅缶には、ゆず、昆布が入って、助っ人としてまぐろと梅干しを支えています。そして和歌山のみりん、日本酒、薄口醤油とイタリアのオリーブオイル、ひまわりオイルをあわせたマイルドないい味を作っています。
いい味のモトはここに。

梅干し・・・不動農園さん(和歌山、みなべ町)
http://www.fudonoume.co.jp
ゆず・・・松林農園さん(和歌山、勝浦のお隣の古座川町)
https://kozagawakanko.jp/tourism/562/
みりん・・・中野BCさん(和歌山海南市)
http://shop.nakano-group.co.jp/shopbrand/006/X/
日本酒・・・尾崎酒造さん(和歌山、地元の那智勝浦町)
オリーブオイル・・・クレモニーニエクストラヴァージンオイル

 まぐろ缶、ここで買えますよ!


試作時の塩抜き写真。いい写真がなくてすみません; 





2019/11/04

LUCCAの話・その3 秋のルッカ、そして豚肉のトマト煮込み

 爽やかな秋晴れ、色づきはじめた木々。
・・・何となくLUCCAを思い出す季節です。
 空気感や空の高さ、息を吸った時の空気の温度・・・分析はできないけれどそういうものの合体で、何かを思い出したり、どこかに気持ちが飛ぶことがありますよね。
私がイタリアに初めて行ったのが5月の半ばで、そのあとも5月の半ばや末に何度も行っているからか、その頃の「湿度がなくてからっとしていて晴れていて、でも空気が少し冷たい朝」にイタリアを「感じる」ことがよくあります。やはり5月にはじめてイタリアに行った(取材に連れていったのですが)息子は、小学校の頃、朝、家を出て、「あ、イタリアの空気だ!」と叫ぶことが年に一度くらいありました。やっぱり、陽射しが明るく、湿度がなく、ひんやり感が少しだけある朝なのです。
 ルッカはなぜ秋なのかというと、単純に、この間から書いていますが、ルッカにはじめて行った時、それが秋だったからだろうと思います。
ルッカの話その2の続きです。
このトラットリアの名前はDa Giulio(ダ・ジューリオ)。ふつうに、少し遅めのランチの時間に食べに入った私ですが、ご主人と少しお話出来たら、とお願いし、来てくださったのがジューリオ氏でした。
トスカーナの料理、そしてルッカの料理について、熱弁をふるってくれ、それぞれの料理の作り方まで語ってくれて、一生懸命メモを取る私。
そこで話してくれた料理のひとつが、豚肉と黒オリーブのトマト煮込み。
豚肉をひと口大に切るので、Spezzatino di maiale con le olive (
スペッツァティーノ・ディ・マイアーレ・コン・レ・オリーヴェ)。スペッツァティーノが一口大に切った肉という意味なのです。上質なオリーブオイルの産地としても有名なルッカですから当然オリーブの実が入るのも、ルッカらしい。
肉と玉ネギを炒め、白ワインを加え、その後トマト水煮とハーブを加えて煮込み、煮上がり間際にブラックオリーブを入れる、というのが基本のレシピ。私は豚の肩ロース肉をたっぷり入れる分、少しさっぱりさせたいので炒める時にセロリを加えています。そしてトマト水煮。じっくり煮込んで野菜や肉のうまみと一体化したトマトソースはそれだけでも美味しく、皿に残るとパンにつけて食べてしまいます。
ジューリオ氏との話は、「幻のヴェネツィア魚食堂」(晶文社/usedのみ)の中にも書いたのですが、私が料理の作り方説明の途中で「バターも使うんですか」と口走った時に本当に文字通り「叱られた」という話です。バターは、お菓子系を作る時以外はまず使わない、こんなに美味しいオリーブオイルの産地なのに!バター論外! という、今思えばもっともなお叱り。この料理は私の定番のひとつになり、少しずつレシピを変えながら今も作っています。
#トマト #あらごしトマト
#Lucca #Toscana #オリーブ



写真中は、「ルッカの幸せな料理から」より
写真下は、1年前、国立で「ルッカ料理を食べる会」でお作りしたもの



2019/11/02

和歌山・勝浦の和イタリアンまぐろ缶 まもなく発売 その2




勝浦の和イタリアンまぐろ缶の続き。
実際の缶の中身の話です。冷凍せずに港に届いた生まぐろを勝浦漁港から走って数十秒の加工所で、まず、解体し皮なども取り除いてきれいにしてから、蒸します。ここまでは缶詰にする場合の規定の作業。
この時点はある程度大きなカタマリなので、この缶詰シリーズのためには、ていねいに、適度に、手ほぐしします。
そしてそこからは3種類に分かれます。缶詰三種を作りたい、よくある味ではないもの、というのが事業主であるNPO法人ヒカリヲのメインメンバーさんたちのご希望でした。いろいろな味、組み合わせを東京のスタジオでコツコツ作ってみて、宅急便で送ったり、勝浦で一緒に試食して話し合ったり、大きく味を変えたり、0.1グラム単位で変更したり・・・・山のようなプロセスを経て、出来上がった3種類です。
 梅入り柚子マリネは、和歌山の南高梅を丸ごと使っているのがポイント、柚子と昆布で爽やかさとコクをプラス。梅干しは、ひと缶にひとつ使ってちょうどよい塩加減になるよう、塩抜きの時間を何度も調整。梅干しとオリーブオイルの相性が良いのは、以前の私の著書(和イタリアンのレシピノート)や、雑誌、料理教室でも紹介しているのですが、いいバランスに仕上がっています。
 きのこの醤油マリネは、醤油はごく控えめで「隠し味」に近いイメージです。きのこはエリンギとしめじの二種類を炒め蒸しにしてからまぐろと合わせ、缶に詰めています。炒めたニンニクも効かせています。
 赤山椒トマト仕立ては、炒め蒸しにしたパプリカ、トマトとまぐろをあわせてトマトソース仕立てにしたもの。トマトソースにはあらごしトマトを少しだけ煮詰めて使っています。トマトソース仕立てではありますが、トマトが強すぎず、まぐろや野菜にからんで、そこに赤山椒の香り。
 開催中の阪神百貨店大ワイン祭りではどれが一番人気か、はまだ聞いていないのですが、さて、何が人気かな。

そうそう、どうしてもお見せしたいのがこの写真。
東京で、まだ開発途上の缶詰の試食アンケートを料理教室の生徒さんにしていただいた時、「小さい缶ですね」と言っていた人が、缶をあけて小鉢に入れると、「ボリュームある!」とびっくりする、ということが多かったのです。ぎゅっと詰まっているので、器にあけるとこんな感じ。けっこう食べ応え、あります。
#山椒 #sansho  #umeboshi #南高梅 #redgoldfromeuropejapan  #kaitani ikuko
#katsuura  #勝浦 #和イタリアンまぐろ缶 #ヒカリヲ