爽やかな秋晴れ、色づきはじめた木々。
・・・何となくLUCCAを思い出す季節です。
空気感や空の高さ、息を吸った時の空気の温度・・・分析はできないけれどそういうものの合体で、何かを思い出したり、どこかに気持ちが飛ぶことがありますよね。
私がイタリアに初めて行ったのが5月の半ばで、そのあとも5月の半ばや末に何度も行っているからか、その頃の「湿度がなくてからっとしていて晴れていて、でも空気が少し冷たい朝」にイタリアを「感じる」ことがよくあります。やはり5月にはじめてイタリアに行った(取材に連れていったのですが)息子は、小学校の頃、朝、家を出て、「あ、イタリアの空気だ!」と叫ぶことが年に一度くらいありました。やっぱり、陽射しが明るく、湿度がなく、ひんやり感が少しだけある朝なのです。
ルッカはなぜ秋なのかというと、単純に、この間から書いていますが、ルッカにはじめて行った時、それが秋だったからだろうと思います。
ルッカの話その2の続きです。
このトラットリアの名前はDa Giulio(ダ・ジューリオ)。ふつうに、少し遅めのランチの時間に食べに入った私ですが、ご主人と少しお話出来たら、とお願いし、来てくださったのがジューリオ氏でした。
トスカーナの料理、そしてルッカの料理について、熱弁をふるってくれ、それぞれの料理の作り方まで語ってくれて、一生懸命メモを取る私。
そこで話してくれた料理のひとつが、豚肉と黒オリーブのトマト煮込み。
豚肉をひと口大に切るので、Spezzatino
di maiale con le olive (
スペッツァティーノ・ディ・マイアーレ・コン・レ・オリーヴェ)。スペッツァティーノが一口大に切った肉という意味なのです。上質なオリーブオイルの産地としても有名なルッカですから当然オリーブの実が入るのも、ルッカらしい。
肉と玉ネギを炒め、白ワインを加え、その後トマト水煮とハーブを加えて煮込み、煮上がり間際にブラックオリーブを入れる、というのが基本のレシピ。私は豚の肩ロース肉をたっぷり入れる分、少しさっぱりさせたいので炒める時にセロリを加えています。そしてトマト水煮。じっくり煮込んで野菜や肉のうまみと一体化したトマトソースはそれだけでも美味しく、皿に残るとパンにつけて食べてしまいます。
ジューリオ氏との話は、「幻のヴェネツィア魚食堂」(晶文社/usedのみ)の中にも書いたのですが、私が料理の作り方説明の途中で「バターも使うんですか」と口走った時に本当に文字通り「叱られた」という話です。バターは、お菓子系を作る時以外はまず使わない、こんなに美味しいオリーブオイルの産地なのに!バター論外! という、今思えばもっともなお叱り。この料理は私の定番のひとつになり、少しずつレシピを変えながら今も作っています。
写真中は、「ルッカの幸せな料理から」より
写真下は、1年前、国立で「ルッカ料理を食べる会」でお作りしたもの
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